マリンマン3 スーパーダイブの解説

12月に新発売する予定のマリンマン3についてさらに詳細の説明をしたいと思います。

少し技術的な内容になるかと思いますが興味のある方は読み進んでください。

このモデルの特徴を以下にポイント別に述べます。

1.JIS300m潜水防水仕様

JIS規格では潜水防水を1種(空気潜水)と2種(飽和潜水)に分けて規定しています。1種はボンベで潜るもので200mまでの規定となっています。

実際には人間が潜れる限界はせいぜい100mでしょう。

2種の飽和潜水はヘリウムガスを人体に取り込んでから深海に潜水する職業潜水士向けのものですが一般の実用向けではないのでここでは省略します。

JIS1種では潜水用ダイバーウォッチとして以下の項目を規定しています。

1)判読性;いわゆる水中の暗いところでも30cmから時刻が読める視認性です。

2)耐磁性;ある程度の磁界に耐える性能が要求されます。

3)耐衝撃性;一般時計よりも強い衝撃に耐える性能が要求されます。

4)耐塩水性;海水での使用に耐える耐食性

5)水中作動性;規定の深度でも時計の作動に問題ないこと。

6)耐外圧性;簡単に壊れない頑丈さと耐圧度

7)加圧防水性;静圧での加圧テスト(呼称*1.25)をクリアーすること

8)耐浸漬性;水中での長時間浸漬に耐えること。

これらの項目をすべて満足しないと本来のJIS1種潜水防水とはいえません。

いわゆるダイバーウォッチというのは普通の時計よりもかなり強固なものであることが要求されるわけです。

ちなみにISO規定よりもJISのほうが若干厳しくなっています。

このほかにもベゼルの目盛りは60分割の読み取りができることも規定しています。

潜水用ケース構造

300m防水を実現するにはガラス部とリュウズ部の構造が特にポイントになります。

上図は構造の部品展開図です。

裏ぶた部は通常のOーRING方式でいけます。

ガラス部の構造が特に重要で潜水後の浮上時に内圧と外圧の差でガラスが外れない構造をとっています。

さらにガラス周りには1個のO-RINGと2個の高密度のプラスティックパッキンを採用しています。

ガラスは30気圧以上に耐える強度を確保しています。

トリチウムガス発光システム採用の究極の視認性

クラフツマンの開発で培った技術をこのダイバーモデルにも採用しました。

スイス,ベータマックス社のトリチウムガス管を文字板と針(時分針)に使用しスーパー蓄光アラビア文字など)との併用で薄暗いところから完全に真っ暗な環境でも確実に時刻を読み取れます。

A)

B)

写真のAは薄暗い状況、Bは真っ暗な状況での視認性のイメージです。Bの視認性は蓄光のように時間とともに消えずにそのまま継続します。

どんな状況でも時間が分かりますから究極の視認性と言えるでしょう。

3.複合材使用によるデザインと機能性向上

ケースは耐食性が高いSUS316Lをボディとベゼルに採用しベゼルには黒の超硬質IPめっきを外周に施し傷が付きにくくなっています。

直接肌に触れる裏ぶたにはアレルギー反応のないチタンを使用し同時に軽量化を狙っています。

チタン材は気温が下がる冬など冷たくならないので腕につけるときもやさしい金属です。

ブレスも316Lステンと強化樹脂との複合で軽量化とデザインでの精悍さを演出しています。

黒の強化樹脂のぎざぎざ模様はベゼル外周のラチェットや文字板の型うち模様とのデザイン調和を狙っています。

ケースにはベゼル部の6角ピンやリュウズ部のブラックねじなど加飾要素を取り入れ、ステンの質感とブラックの組み合わせが調和し全体にバランスの取れた形になっていると思います。

4.インパクトデザイン

ケースサイズも43mと大ぶりですが鮮度の高いデザイン、見た目のインパクトの大きいデザインとなっていると思います。

これまでのケンテックスの比較的保守的なデザインの流れから少し逸脱した新しい方向性を示す挑戦といってもいいでしょう。

いつも流行を追うつもりは無いのですが時代の流れに沿った新しい時計のデザインは必要だと考えています。

今年のバーゼルでは特に機能系のモデルに近未来を感じさせるモダンなデザインが多く見られましたがこのマリンマン3には新しい感覚を入れたいと思ってました。

ケースの大きさもさることながらこのデザインは日常の使用でもそれなりに人目を惹きつける個性とインパクトがあると思います。