クラフツマン25周年モデル その2

クラフトウォッチ(Crafts Watches)

これはS526X新クラフツマンを一言で言い表すのにふさわしい言葉ではないかと思っています。

近く発売するこのモデルはケンテックスが2014年に設定した新しいコンセプト
”Time Crafted To Perfection”
を具現化する最初のモデルになります。

技術とデザインの力を総結集した最高の時計を目指す。
そこに作り手のこだわりを妥協なく入れることで素晴らしい時計を作ることができると確信します。

どこにでもあるような時計でなく、スイスの高級時計にも劣らない時計を日本人のプロデュースで行うことに意義があります。

もちろん一個何千万もするような独立時計師の世界とは較べられませんが実用時計としてメーカーが作る時計の中では極めてコストパフォーマンスの高い優れた高品質時計を世の中に提供することは時計メーカーの一つとしての私たちの理念です。

その意志を具現化するのはKENTEXの中ではやはりクラフツマンシリーズ(Craftsman Series)が相応しいというのが社内での熱い議論を経た結論でした。

それを分かりやすく一言で表す言葉がΓクラフトウォッチ(Crafts Watches)」かと思うのです。


前報でムーブメントについて紹介しましたので今回から外装の説明に入ります。

このへんで今生産に入っているモデルの顔を軽く紹介いたします。



まずこの時計の最大の特徴は超耐磁時計(Anti Magnetic)です。

それは一般の耐磁時計とはレベルの違う本格耐磁性能を持ったものです。
軟鉄インナーケース(Soft Iron)を採用した特殊構造でその耐磁性能はJIS二種規格の16000A/mをはるかに超える40000A/m以上の実力を備えています。
現在日本の信頼できる機関と共同で耐磁性能試験を実施していますのでその詳細をいずれ発表できると思います。

現代の生活においてはITの進化によってパソコンや携帯などより強い磁場に遭遇する機会が多い生活環境になってきているといえます。
機械式時計は金属精密部品の集合体で磁場の影響を受けやすい精密機械です。
強い磁場に5センチ以内に近づくと機械式時計は磁気帯びの危険があります。
いったん帯磁してしまうとどんなに高性能なムーブであっても精度を維持できなくなります。
そこでどんな環境下にも耐えられる耐磁性能を担保しておくことは高級時計には重要で大切な要素であると考えます。
近未来に始まるリニアモーターカーなど強い磁場環境に遭遇するチャンスがあっても安心して時計を装着することができます。



次にトリチウム管発光システム(Tritium Ilumination System)を採用した抜群の視認性です。

トリチウム管を文字板12本と針3本(時分針と小秒針)の計15本採用します。

トリチウム発光は普通の暗がりではたいした効果を感じないのですがたとえば少し長い時間、かなり暗い所にいるとその驚く効果を実感できます。
身近なところでは映画館に入り一時間ほど経過すると蓄光(夜光)はかなり輝度が落ちているのに対しトリチウム管はかなり明るく輝き容易に時刻を読むことができます。
強化夜光レベルとは比べ物になりません。

同じことが真夜中に目覚めたとき、夜道や暗いタクシーの中などでその効果を実感できます。仮に真っ暗な洞窟の中に何日もいた場合でもトリチウムは20年間エネルギーなしで光り続ける自己発光の性質を持っているので少なくとも時間の経過は知ることができます。(12年が半減期です)
実際にこの時計を携帯すると実生活で役立つことがとても実感できます。

この二つの性能機能レベルを併せ持つ時計は私の知るところでは世の中にほとんどないと思います。
この時点でもすでに貴重といえるのではないでしょうか。


RolexのミルガウスIWCのインジュニアにはトリチウム発光システムはありません。
またLuminoxやBALLのトリチウム発光時計にはこのレベルの耐磁性能を持つ時計はありません。
非常に実用性の高い時計であるといえるでしょう。





三つめはチタン(Titanium)材の採用です。

正確にいえばチタンのほかにセラミック(Ceramic Bezel)、軟鉄(Soft Iron Inner case)、カーボン(Carbon Dial)、Bs(文字板)、316Lステンレス、サファイアを使用した複合素材時計(Fusion)と言えます。

ケース本体とバンドに軽くて強度のあるチタンを採用しています。

チタンは携帯していてとても軽く使いやすい素材です。
冬の朝など一般のメタル時計が冷たくなっているときでもチタン製時計は心地よく、違和感なくつけられます。
耐食性が高くまたアレルギー反応が弱いのでかぶれることはほとんどありません。
時計としてとても魅力のある素材ですがステンレス素材に比べて製造が困難でチタン加工のできるメーカーは限られます。
材料費も近年ではかなり高騰しています。

結果としてチタンケース、バンド採用はかなりコストの高いものになります。

ステンレスにしてコストを抑え販売価格を下げるか、またはあくまでチタンで理想の時計を追求するか。
ケンテックスはここでチタン採用にこだわりました。

ケンテックスの理念である

最高の時計を目指す。
どこにもないものを造る。

を具現化するためです。

もちろん快適、携帯性、耐久性(径時品質)という時計本来の実用性にこだわった上での結論です。

ただしチタンは残念ながら柔らかく傷がつきやすいという欠点があります。

それを補うために前作S526X-1&2)同様 ケース、バンドのチタン表面にIPHめっき処理を施します(9015モデル)。
ビッカース硬度2000(Hv2000)程度の超硬質めっきコーティングによってチタン素材そのままとは比べ物にならないくらい耐擦傷性が高くなり小傷がつきにくくなります。
結果2,3年の使用でもほとんど傷が目立たないレベルになります。
今回のIPHは前作とは違い明るいIPH色を採用し、より魅力的で高級感のある外観になっています。


またNE88搭載モデルはさらに高級仕様としてプラチナPVDめっき(PlatinumPVD)を表面に施します。
プラチナPVDは一般の時計ケースにはほとんど使われないものですが今回の25周年記念モデルとして特別に採用しています。
その結果チタンの色気のないグレイな色ではなくジュエリーなどの装飾品のように気品の高い高級品としての外観を備えています。
ちなみにケンテックス トウールビヨンにもこのプラチナPVDを採用しています。


ここまでの三つがこのモデルの特徴的な点と言えるでしょう。


この三つの性能は今回発売になるNE88クロノグラフと9015の三針タイプの両モデルとも採用しています。


そのほかにこれまでケンテックスが蓄積した技術やデザインの結晶と新しいアイデアが随所に入っています。

・カーボンなどの複合素材にこだわった立体ダイアル(文字板)
・日本人彫り師による雉(きじ)のエングレーブをNE88に採用(Engraving)
・軟鉄をあえて見せる工夫をしたバックプレート(9015)
サファイアクリスタル(トップとバック)
・お客様の名前とシリアルナンバーを入れるエキストラバック


その他にもお伝えしたいポイントがたくさんあります。
これらは次回以降に詳細をお知らせします。