2012新年ご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

今年は辰年になります。

辰というのはなぜか十二支のうちでも唯一想像の動物で竜、龍とも記され人気もあってか出生率も上がります。また今の時刻で言うと午前8時ごろで一日が始まる時間帯でもあります。

昨年は未曾有の大震災によって日本全体が震撼した忘れがたき歴史の年となりました。

今も被災地では苦しい状況が続いていますがこの苦しさをバネに一体となって新しい日本に変貌するスタートの年にして、今の日本の閉塞感から抜け出すチャンスとすることを心から願ってやみません。

日本の政治家にも特定集団の利益を考えるのでなく今はグローバルな視点で日本全体の将来を見据えた長期的判断と信念で活動してもらいと願います。

日本人には第二次大戦後の悲惨な状況から見事に復活した世界でも珍しく粘り強いすばらしい素質があることを信じています。

さて振り返ってケンテックスでも昨年は一つの変換点でもありました。

昨年はメイドインジャパンのメカ(機械式)モデルシリーズを意識的に強化した年でした。

ケンテックスブランドが1998年にスタートしてから13年が経過し14年目に入ろうとしています。

当初は香港をベースにスタートしましたがもともと日本人によるプロデュースで企画、デザイン、製作を行い多くの日本の時計ファンにもこれまでたくさんの支持をいただきました。

香港発であってもそのアイデンテティとクオリティは日本のものであると私自身はずっと思ってきました。

これまであまり日本のメカに特化していなかったのは魅力あるメカムーブの選択が出来なかったことが第一の理由でケンテックスモデルとして世に送り出すには物足りなかったからです。

それが一昨年あたりから日本の両大手時計メーカーから新機軸のメカムーブが逐次発売されユーザーにとって魅力的なメカムーブを選択できるようになりました。

これが日本製のムーブを使ったメイドインジャパンのメカシリーズを造っていきたいという引き金になりました。

ケンテックスファンでしたらご存知のようにこれまでのケンテックスメカはスイスのETAがメインでしたがETA2824に匹敵するハイビートの90系国産ムーブも入手できるようになり昨年に7年ぶりにエスパイのリファインを行いニューモデルを開発しました。

ETA2824よりも一ミリ薄型化できさらにドレスアップしたモデルを造ることが出来ました。

私自身の携帯でも非常に満足できる安定した精度を維持し自信を持って時計ファンに紹介できる時計です。

ETAムーブは皆さんご承知のようにすでに市場ではかなり割高で結果として相当高価なモデルとなってしまいます。

日本製のムーブを採用することでケンテックスの理念である”いいものをリーズナブルに”そしてデザイン的にもバリエーションのある商品化を進めることが出来るものと考えます。

昨年はそんなことでエスパイのほかにもコンフィデンス(S559X) ランドマン(S678M), スカイマンパイロット(S688X)、コンフィデンス(E492X)と続けてメカモデルを開発商品化しました。

今年はハイビートムーブのマルチ(パワーリザーブ、24H表示、月、日付)を搭載したエスパイのスポーツモデルが春に出ます。そして今は新マリンマンAUTOの構想スケッチが出来ているところで今後さらにメカシリーズを充実させていきます。

先にも記しましたようにケンテックスは日本人による日本のブランドであると認識しています。

ケンテックスファンは少しづつですが香港初め海外にも増えてきています。

この超円高で日本のものづくりがどんどん減ってきていますがケンテックスは日本発のブランドとして日本のものづくりにも焦点をあわせメイドインジャパンを国内のみならず世界に向けて羽ばたけていけたらと考えています。

またメカばかりでなくケンテックスのクオーツファンの方にも配慮してクオーツモデルの製作発売も並行して行っていきます。

これからも魅力あるいいモデルを開発商品化していきたいと考えていますのでどうぞこれからのケンテックスにご期待とご支援をいただけることを願っております。

新年にあたりまして勝手なことを書いてしまいましたがどうか皆様にとって2012年が本当に良い年でありますよう心から祈っております。

新スカイマンブラックチタン7750

昨年末に発売されたブルーインパルス50周年記念7750モデルはわずか50個の限定でしたが予約の時点でほぼ完売してしまい

ファンの方には残念な思いをさせてしまいました。

このモデルはそのモデルをベースにオールブラックにリファインしてケンテックススカイマンのフラッグシップモデルとして発売されたものでわずか30本の

限定生産で希少なレアモデルです。

ブルーインパルスとは違った迫力のクールな魅力があります。

メカファン垂涎の傑作クロノグラフバルジュー7750を搭載した回転計算尺機能つきでパイロットモデルとして完成度の高い機械式クロノグラフです。

ケース、バンドともに軽く耐久性のあるオールチタンで超硬質ブラックIPをコーティングしたことで傷がつきにくく、精悍なデザインになっています。

ブラックモデルは数年前から世界的に流行していますが最近では一般の人にも認知され定番化しているように思います。

ステンレス派にとっては少しインパクトが強いモデルですがブラックモデルファンにとってはまたとない希少なモデルになっています。

腕につけたときのブラックモデルは精悍で新鮮、あのステルス戦闘機のような魅力を持っています。

風防は無反射コーティングつきの両面カーブサファイアを採用マット文字板との組み合わせで高い透明性と上空での反射を防ぎます。

文字板と針にはスーパー蓄光で視認性を確保、ケース9時横にはSkyman Pro7750と限定ナンバー(No.01/30~)が刻印されたローズゴールドの

エンブレムプレートが貼り付けられています。

よく見ると分かりますがダイアル内の三つのインダイアルはすり鉢上のインダイアルが埋め込まれた立体感のあるものになっています。

ケース径は迫力のある45ミリですが比重4.5という軽いチタンは総重量145グラムで腕にしてもほとんど重さを感じません。

裏ブタはブラックIPめっきされたローターが見えるスケルトン仕様ですので7750傑作ムーブを眺めることが出来ます。

スペアの革ベルトとベルト交換ツールが標準でセットされた木箱がついています。

決して安くない代物ですが7750搭載と完成度の高さ、希少価値を考慮すればリーズナブルな設定だと思います。

ESPYクラシックデイトのブルーローター

もともとこのムーブは地板の仕上げもきれいですがローターもきれいにまとまっています。

それでもどうしてもローターの特別な装飾にこだわりたかったのでずいぶんといろいろなアイデアでテストを行い試行錯誤した結果今のものになりました。

実はここまで来るのが本当に大変でした。

当初はスケルトンにしようとデザインをいろいろ考えましたがエッチングでの切り抜きに生産上の難しさがあり歩留まりがかなり悪くなりそうだったのでギブアップしました。

当初のスケルトンローターアイデア

その後レーザーでパターンデザインしたものを造りましたがいまいち深さが無く高級感に満足できなかったのでこれもあきらめました。

その後エッチング加工で模様を入れることにし日本の紋様をテーマにいくつかデザインしましたがその中で波をイメージしたデザインが気に入りこれで深いエッチング(腐食)加工でサンプルを製作したところ満足できるレベルに浮かび上がりました。

ただそれだけでは物足りなくローターにブルーIPめっきをして始めて自分が思い描いていたレベルの満足できるものになりました。

このエッチング加工も量産上ではやはり歩留まりが悪く不良も出ましたが最終的にはたいへんオリジナリティの高い美しいローターが出来ました。

コスト的にはその分高いものになりましたが時計の裏を返した時思わず見とれてしまうぐらいの感動的なローターが出来上がったと自分で納得しています。

この時計は表ばかりでなく裏側も充分魅せられる時計になっています。

先に記したように地板の仕上げも柔らかいきれいな仕上げになっていますので裏スケルトンからムーブをじっくりと眺めるのも乙なものです。

7年ぶりのエスパイ発売です!

ESPY3 3D

Kentex時計のドレス系モデルのフラッグシップとしてESPYシリーズがありますがESPY2を2003年に開発発売して以来次のモデルが止まっていました。

その理由の一つとしてETA2824ムーブが市場で不足し不当に高くなってしまったため仮に時計を開発してもかなり高いものになってしまうのとそれに代わる適当なムーブが無かったことにあります。

それが最近になって日本のムーブメーカーから毎時28800ビートの高振動薄型自動巻きムーブが開発されいよいよESPYに使えそうなものが国産から出てきたので満を持してこの時期にESPY3の開発に着手しました。

そのコンセプトは気に入った時計を長く使う”一生ものの時計”を開発することにあります。

そのためにはどうしても高性能のいいムーブをベースに、飽きの来ないシンプルで美しいデザインであることが大切です。

腕にフィットし重くなく、見やすくそして美しい‥

それをすべて備えた時計‥

そのことに重点を置き腕時計の原点に戻ってその本質を追求するとこうなるという時計を目指しました。

このムーブは国産としては初の高級品向けに開発されたものでETA2824と同じハイビートで三針デイトつき、巻き上げ持続時間は42時間以上で秒針規制装置つき、さらにETA2824よりも薄く設計上で1ミリ薄くすることができる優れたムーブです。

ローターには波をイメージした日本の文様をデザインした蝕刻を施しさらにブルーIPめっき処理のこだわりで一段とムーブの美しさを引き出すことに成功しました。

裏返したときに感動と言えるまでのこだわりの裏スケルトンになっています。

ケースは前作ESPY2のDNAを踏襲しながらもより薄さを強調したドレッシーなデザインにリファインしています。SUS316Lステンレスを採用したサティンとミラーの飽きの来ない落ち着いた雰囲気の高級仕上げを採用しています。

風防は無反射コーティングが施された柔らかい両面カーブのサファイアクリスタルで傷がつかず長く使ってもクリアーな初期の美しさを保つことが出来ます。

ダイアルは柔らかな縦のストライプを中央部に三角カットのインッデックスとローマのインデックスが適度なコントラストとシャープ感を演出しています。

今回の88個特別限定品はフロントビュースケルトンムーブを塔載したモデルでローズゴールドケースにコニャックブラウンのスケルトダイアルでテンプの動きやムーブ仕上げの美しさを堪能できるものになっています。

ブラウンのカーフベルトにローズゴールドIPめっきされたむくのDバックルが装着されている高級品仕様となっています。

余談になりますが試作品の携帯をして驚いたのですが想像した以上に精度が良く私の携帯したものは日差で8~10秒以内に入っています。

すべてがそうであるとは保証出来ませんがこのムーブはさすがに高級品向けに開発されただけあって日本が誇る優れたムーブになる予感がします。

価格から比較してもすでにETA2824を上回るパフォーマンスがあることは間違いなさそうです。

いつまでもスイスが一番という認識はそろそろ変える必要があるでしょう。

ダイアルには日本製の証であるMade In Japanの文字が入り、裏ブタには88個限定品のとしてNo01/88 からNo88/88までの限定ナンバーが刻印されます。

程よく柔らかいカーブで美しくまとめられたケースとレベルの高いムーブ塔載で当初狙っていた一生ものの時計が形になったと自負しています。

謹んで震災のお見舞いを申し上げます。

このたびの東北地方太平洋沖地震の被災地、被害者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

多くの犠牲となられた皆様に深く哀悼の意を表するとともにそのご家族、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被災地の一日も早い復興を心より祈念いたします。

私も被災地の皆様のお役に立てるよう僅かながら義援金として寄付させていただきます。

この重大な災害が今の日本のさまざまな問題を吹き飛ばし、多くの人が一丸となって新たな日本再生の起点となることを渇望します。

がんばれ日本!がんばれ東北!

二階建てバス広告

香港といえばロンドンで有名な二階建てバスのメッカです。

本場イギリスではすでに下火になっているようですが香港という狭い土地に人がたくさんいるところではこれがぴったりはまり、街中いたるところで二階建てバスが走っています。

もう香港の人には欠かせない便利な乗り物となっています。

その二階建てバスにKentexトウールビヨンの広告を出しました。

約1ヵ月半の期間でしたが香港島のコースウェイベイあたりのルートを走りました。写真はちょうどそれを街角で見つけてスナップしたものです。

香港には中国から毎日大勢の人が押し寄せ、いたるところで買い物をしている姿が見かけられます。

収入など一定の条件を満たす中国人には香港観光を開放し自由に訪れるようになっています。

今の日本人とは対照的な光景ですが、かつての日本の1980年代のバブルのような勢いでブランド物や高価なものを買いあさっています。

また香港には中国以外にもアジアの人たちが多く来るようになっています。

こうした観光客にも少しでも日本のKentexを知ってもらいたいと思いバス広告をトライしてみました。

たかが一台程度ではたいした効果はありませんがこれから少しづつこうしたプロモーションを続けていきたいと考えています。

追)香港の雑誌にはこれまでEsquire, MR, Men,s UNO、J-Men,などメンズファッション系の雑誌にKentexの広告、紹介をしています。

これを見て当社のコーズウェイにあるKentex直営店に来られる人が増えてきています。

日本のKENTEXをもっとアジアの人たちにも知ってもらえるようにがんばります。

新クラフツマンプロの使用実感

新クラフツマンプロ(ETA2824径大)を使い始めて半年以上が過ぎましたのでその感想を報告します。

結果は私自身驚いていますがほとんど傷がついていません。

これには私自身うれしい驚きです。

今回の新作はチタンの傷がつきやすいという弱点を補うためにHv2000という超硬質のIPコーティング加工をケースとバンドに初めて採用しました。

その効果がどんなものか興味がありましたがまさしく使って実感できるものでした。

ガラスもサファイアなのでこの時計はいまだに当初の新品の輝きが続いています。

もともと自分の好きなデザインですから使い出してからはもうこればかり愛用してます。

究極の実用時計を目指すコンセプトで開発スタートしましたが実際に使ってみて使いごこちはかなり高得点です。

これは半年以上毎日使いっぱなしでの結果です。

もし硬質コーティングをしていなかったら今頃はかなり傷だらけとなっていると思います。

時計ファンは時計を丁寧に使っている人が多いですが、好きな時計がいつまでもその美しさを保ってくれるのは時計好きにとっては絶対うれしいですね。

この時計は初めから実用時計の頂点を目指そうと鳴り物入りでいろいろな機能と性能を盛り込んでいますが実際に使ってみて有効だなと実感したのは私の場合この硬質コーティングとマイクロガス管です。

マイクロガス管はトリチウム自己発光ですからどんなに真っ暗な状態が長時間続いても時間がはっきりと読めます。

効果が特に実感できるのは映画館内や夜のタクシーそれと夜中に目が覚めた時です。

ずっと暗い状態が続く映画館内などは特にはっきりとその効果が現れます。

真っ暗な状態になるほどその光がかなり明るく見え周囲を照らすぐらいの明るさを感じます。

私はこの時計にかなり高い得点を出します。

デザインと機能を総合的に高いレベルに持っていけた数少ない時計と思います。

以上簡単な報告でした。

追記)

写真が見たいというご意見がありましたのでここに入れました。

よくみれば多少の小傷はあるのですが30cm程度の距離からはほとんど新品の感じです。

2010年12月3日撮影

使用感想