バーゼルでの日本人独立時計師

2013バーゼルワールドでは二人の日本人独立時計師の方にお会いしました。
一人は菊野昌宏さんともうひと方は浅岡肇さんです。

ホール2の一階にAHCI独立時計師アカデミー会員)のコーナーがありますがその中に日本人としてお二人が出品されていました。
AHCIは企業に属せずに独立して時計製作活動をしている人の集まりで34名いるそうですがその中で日本人は現在2名です。
お二人について紹介します。

菊野さんは1983年生のまだ若い方ですがヒコみづので講師をしながら2011年に不定時法腕時計(和時計)製作がフィリップデュフォーさんに認められ準会員となり2013年に正会員となりました。
日本人初の独立時計師というのは非常に意義のあることだと思います。

和時計とは昼と夜を二分しそれぞれを6等分したものを一刻(いっとき)とする昔の時刻です。

その後永久カレンダー、トウールビヨンを製作し、今回のバーゼルではORIZURUというアワーリピーターとオートマタの複雑時計プロトタイプを発表していました。

実際に手にとって見せてもらいましたがすべて手作業で完成していて量産品にはない手作り感が強く感じられました。
金無垢でできた鶴(折鶴)の羽が動く造りになっています。
年にひとつのペースで新モデルを開発しているようですが次の製品は何を手がけるのか楽しみです。




浅岡肇さんは2013年に準会員となられて今回が初めてのバーゼル出品です。
もともと芸大出身のプロダクトデザイナーだったのが時計の密な世界にはまりCNCや工作機械を駆使して自ら時計を製作したのがいきなりトウールビヨンというすごい人です。

ムーブメントはもちろんケース、文字板、針などすべてを自作しているそうです。

このフェアではトウールビヨンを出品しています。
42ミリのSSケースですがこれも手にとって見せてくれましたが実にきれいな仕上げだったのが印象的でした。
文字板のデザインも独創性と美が伝わってきます。
高い精度と高仕上げのムーブ部品製作によってかなり高精度のトゥールビヨンになっています。

価格は680万円で銀座和光で展示し受注生産をするようです。

幼少の頃から工作好きで大工になりたかったとか。
浅岡さんが載った雑誌にこんなくだりが書いてありました。

プロダクトデザイナーとして作りたかったのは車とカメラと機械式時計の三つ。
車はメーカーに入社しなければ造るのは無理、カメラは精密機械から電気屋さんの対象になってきたので興味が薄れ、残ったのが時計。
すべて独学で時計製造技術を学びオフィスには必要な工作機械を揃えています。

時計の魅力について浅岡さんによれば、
『ひとつはその密度、小さなケースにあれだけの部品が詰まっている。
それと仕上げ、工業製品の中でここまで入念な仕上げを行う製品は他に無い。
常軌を逸した業界だがその凄みに魅力を感じる』
ということですがその言葉に私もまったく同感です。

浅岡さんはその製作過程を惜しげもなくブログで公開していますので興味のある方はご覧になってください。






写真左から菊野氏、私、浅岡氏、そして当社のNaoki

高級時計の世界ではスイスのブランドばかりが目立っていますが日本人時計師が世界に出て行くことは大いに歓迎すべきことです。

日本には大手の時計メーカーがありますがそれらは量産を主とした大衆時計が中心のため残念ながら世界のマーケットのなかでは高級時計としてのブランドの位置づけにはなっていません。
日本の時計というとどうしても高級品にはならないのがこれまでの流れです。

こうした大手企業に属さない日本人独立時計師が出てきて日本から世界に発信していくことで世界の高級時計市場で日本の時計づくりが評価され底上げされていくことが期待できます。
若い人たちがあとに続き日本人の手による手作りの高級時計を世界に発信して欲しいと思います。

2013バーゼルワールドレポート2

スイスバーゼルで毎年春に開催されるバーゼルワールドはすでに長い歴史を持っています。
世界を代表する時計メーカーが一堂に集まりその新作を競ってお披露目するわけですが中でもホール1にブースを持つメーカーは歴史と伝統のある老舗時計メーカーが多く展示されるモデルも一見に値するすばらしいモデルがたくさんあります。

新しくなったホール1は一階から3階までありますがその中で1階(HALL1-0)に入るブースはいわゆるメジャーな大手の時計メーカーです。
入り口の大きなホールには長身のコンパニオンが前日の各ブランドのニュース記事を毎日入場者に愛想良く配っています。




当然のことですが今年から各ブースとも一新しホテルのロビーかと見間違うほどのゴージャスなブースで入場者を迎えています。
おそらくこの一角は耳に入っている情報から察して1㎡あたり3000スイスフランはするでしょう。
200㎡以上もありそうなROLEX、ブルガリ、ホイヤーなどのブースは場所代だけで6000万円以上も予算を掛けていると思います。
ブースの費用を入れると軽く1億を超えているでしょう。












逆に言えばそれだけこのバーゼルワールドにお金を掛ける意味があるということなのでしょう。
年に一回八日間の催しですがそれだけに各メーカーがこのフェアに掛ける意気込みが見えてきます。
バーゼル市はこのフェアで一年間の稼ぎを取るなどとよく陰口を言われますが確かにホテルの高さやレストランの高さは目を見張るものがあります。
おそらくスイスは世界で一番物価が高いのではないかと思います。

私たちはすでにセットアップされたブースと選ばれた時計たちの趣向をこらしたディスプレイを見るわけですがその裏には膨大なプランニングや作業のエネルギーがあるわけです。
私自身も自社のフェア展示を何度も経験していますが小さなブースであってもなかなかたいへんな作業なのでこれほど規模の大きい展示となるとそこにものすごいエネルギーを感じます。

さて今年の展示モデルですがどれもこれもやはりすばらしくムーブメントの機能と外装の美を誇らしげに展示されていました。
どれも聞きなれた、見慣れたブランドではありますが普通に時計ショップのウインドウで見るのとは違ってデザインにお金を掛けたディスプレイのなかで見事に自己主張していました。

各社とも自分たちのこれまでの傑作ともいえるモデルを前面に並べているわけですがそれらを3日間ぐらい集中してみていると本当に時計の表面的な美しさの他にムーブメントの機能やその奥にあるもの、例えばメーカーの多くの技術者たちの積み重ねたものやブランドの歴史がこうしたすばらしい時計につながっているのだなとあらためて実感させられました。
時計と言うのは各ブランドが持つコンセプトや理念みたいなものをそれに携わっている人たちが長い間続けてきたことでレベルアップしここまでのものが出来ているのだと言う事実を確認した気がしたのです。
広告や宣伝で短期間に一躍有名になったブランドとは違う何かを感じました。

それらはパテックであり、ゼニスであり、ショパール、ブランパンでもありますが中央のスウォッチグループが陣取っているさらに奥のほうの老舗のブランド、例えばユリスナルダン、コルム、GP(ジラ−ルペルゴ)にもそれを強く感じました。

あらためて凄いなあと思いました。

Breguet(ブレゲ)
Chopard(ショパール)

ULYSSE NARDIN(ユリスナルダン)
同上オルゴールウォッチ

G.P.(ジラールペルゴー)


SEIKO(グランドセイコー
CITIZEN
HUBLOT(ウブロ)


PATEK(パテック)


BLANCPAIN(ブランパン)


FIYTA(中国)
Glashutte(グラスヒュッテ)

RAYMOND WEIL
BREITLING(ブライトリング)

2013バーゼル速報

バーゼルワールド行ってまいりました。






















二年ぶりのバーゼルフェア訪問となりましたが今年のフェアは大きく様変わりしました。
まずはその概要を速報いたします。

正式にはBASEL WORLD2013ですが世界の時計(とジュエリー)の祭典として世界のトップブランドから中堅までがその技術と美を競い合っている場です。

今年もたくさんのすばらしい時計たちを見ることが出来ました。
その詳細はおってレポートすることにしますがまず今回はブースの概要やロケーションから報告します。













大幅改装に伴い今年から会場が一新し、各ブランドのロケーションが大幅に変更になりました。
ホール1を中心にホール2、ホール3、ホール4があり少し離れたところにPALACEがあります。
これまでは各ホールが別々の建物で独立していましたが今年からホール1を中心にホール2、ホール4ほぼすべて渡り廊下でつながっていて移動が便利になりました。

特にメインホールであるホール1(Gloval Brand)のブランドの位置も大きく変わりました。
ホール1−0(一階)はSwatchグループ傘下の各ブランドが中央の陣取りとなっていますがホール1の入り口付近には左側から順にBVLGARI,HUBLOT,ROLEX の三つが、そして右側の手前から順にTAGHeuer,ZENITH,PATEKの三つのブースとなっていました。






中央にスウォッチグループ傘下のブランド(オメガ、グラスフュッテ、ラドー、ティソ、ロンジン、ハミルトンなど)があります。
今年はトウールビオンのコーナーを特別に設けて解説つきで展示していました。



その後ろにBREITLING,CHANEL,BELL&ROSS,CORUM,ULYSSE NARDIN,MOVADO(EBEL,CONCORD),RAYMOND WEIL,CARL BUCHERER,GUCCI,JEANRICHARDが構えています。






ホール1(一階)の反対側にはスウォッチのコーナーが大きなスペースをとって展示されています。
二階は前半分がジュエラーメーカーのコーナーで後ろ半分がジュエリー系の有名ウォッチメーカーです。
日本ブランドとしてはSEIKOとCITIZENがこの2階の奥のほうに移りました。
また中国のブランドFIYATがこのフロアーにブースを構えたのは特記に値すると思います。いよいよ中国から世界的ブランドが生まれてきたという事です。
ちなみにCASIOは1−2(三階)に入りました。

ホール2(International Brand)はジュエリーメインでもともと時計は少なかったのですが近年このホールにも時計ブランドが入るようになりました。
一階と三階が時計メインとなっています。
まだメジャーではないがすでにインターナショナルなブランドやこれから世界をめざす中堅ブランドがこのホールに集められています。
AHCI(独立時計師)のコーナーもここに移っています。
日本人が二人(菊野氏と浅岡氏)が参加していました。このことは後で詳細を報告したいと思います。
MIYOTA,RONDAのムーブやHIRSHの革ベルトなどの時計部品ブースもこの会場に入っています。
SINNもここに移りました。

ホール4(National Pavilions)は地下が時計工作機械や工具のコーナーで一階と2階が香港を中心とした時計、ジュエリーの展示となっています。
このホールの一角に中国メーカーを集めたコーナーがありました。

このほかにPALACEがありますがここは超複雑時計やスーパーウォッチといえる超技巧時計などを造る独立時計メーカーのコーナーでとても興味のあるコーナーです。
時間が無くゆっくり見られませんでしたが時計ファンには非常にわくわくするすごい時計がたくさんありました。

とにかくブランドブースが多すぎてとても見切れない状態でしたし、ここでも書ききれないのでまずはメジャーブランドの位置の紹介でした。



次回からさらに詳細に入りたいと思います。

エスパイ アクティブ新製品紹介

ESPYシリーズはKentexのフラッグシップモデルとして位置づけているシリーズでケンテックスの頂点としての時計作りを目指しています。
もちろんムーブにもこだわりすべてのムーブは28800振動のハイビートムーブ搭載を基本としています。

デザイン的にはクラシックをベースに長く愛着をもって使える飽きのこない美しいデザインをコンセプトにしています。

そのなかでもエスパイアクティブはスポーツ感を取り入れたデザインを採用しています。

2012年春に発表したエスパイアクティブE546M-1(ブルーべゼル)と-2(ローズゴールドべゼル)は国産初のマルチファンクションムーブというめずらしさもあって大変な好評をいただきましたがわずか各88個の限定品のためほぼ完売の状態となってしまいました。

Kentexファンの方にとっては残念な思いをしている方もいらっしゃると思います。

そこでこのシリーズの第二弾を企画しましたが今回は長く愛着の持てるデザインをベースに定番的な色あいを意識してモデルづくりをしました。

ここであらためてこのモデルのスぺックを振り返りたいと思います(以前の説明と一部かぶります)

肝心な心臓部であるムーブはハイビート高性能のマルチファンクションムーブを搭載しています。
28800ビートでパワーリザーブ表示つき、カレンダー、24時間表示、月、曜日がついたマルチ表示、26石の新開発高級モデル用新ムーブです。

エスパイのコンセプトである”一生もの”の時計を開発することに重点を置いています。

本格高性能ムーブをベースに飽きの来ない美しいデザインを目指すことは先のE573Mエスパイと同じコンセプトですがこのE546Mはさらに高機能を付加したスポーツモデルを意識したデザインとなっています。
ケースデザインはこれまでのエスパイのDNAを引き継ぎながらもラグとリュウズガードの部分にスポーティさを加え落ち着きのある洗練された新しい顔になっています。

ケースサイズはラグジュアリー感を出して一回り大きい41ミリでケース横9時側にはKENTEXのロゴが彫刻されています。

SUS316Lを採用したサティンとミラー仕上げの落ち着いた高級仕上げとなっています。


風防には無反射コーティングされた両面カーブのサファイアクリスタルを採用、キズがつかずいつまでもクリアーな透明感があるので初期の文字板の美しさを長く維持することができます。



もちろんケースバックは機械式時計ファンにとって楽しみの一つである高級ムーブを眺められるスケルトン仕様となっています。
自動巻きムーブのローターは前作の波をイメージした日本の紋様をデザイン。
ブルーのND貼りの技術を使いムーブの美しさを強調したKentexらしいこだわりの裏スケルトン仕様となっています。
なかなかここまでローターにこだわるメーカーは少ないと思いますのでかなり希少価値のあるムーブです。



E546M-3は88個の限定品となっています。
ピンクゴールドベゼルに同系色のダイアルで中央部が放射状のギョーシェ彫り、外周とインダイアル部がサークル状のうずめ模様を採用。
インデックスは12,3,6,9時の4箇所がローマアプライ、8箇所は三角カットのバーインデックスを採用して適度なアクセントとシャープさを演出しています。
ピンクゴールド派の人にお勧めです。




E546M-4はオールステンのケースに人気のブラックダイアルを組み合わせたモデルですがいい時計を長く大切に持ち続けたいという派の人にお勧めできる定番中の定番ともいえるモデルです。
色のついた時計は結局どこかで飽きが来ることがあるかもしれませんが白と黒の組み合わせはもともとベーシックなだけにその可能性は小さくなると思います。
やはりそれが永遠の定番となるのでしょう。




E546M-5はトップブラックのケースに薄いシャンペンダイアルが心地よいバランスでとても品よくまとまっていると思います。
このダイアル色はS社のG.Sと似た色あいでとても高級感のある雰囲気、仕上がりとなっています。


今回のモデルで3番は先のモデルの5列ベルトをそのまま採用していますが4番と5番は新しいデザインの5列(3列風)のベルトを採用しています。
両方とも半駒がついていますのでより長さの調整がしやすいように配慮されています。

バックルは両サイドプシュの三つ折れタイプです。


日本製で文字板とケースバックに”Made In Japan”のマークが入ります。



有名ブランドでなくても「いい時計を長く持ちたい」という時計ファンには私が自信を持ってお勧めできる時計です。


ケンテックスの高級シリーズであるエスパイのラインアップを充実させ”機械式のいい時計”といえるものをさらに増やしたいと考えています。

これからもご支援をよろしくお願いします。

2013年 ご挨拶

明けましておめでとうございます。

今年は巳年です。
巳は胎児の形を表した象形文字で蛇が冬眠から覚めて地上に這い出す姿を現しているとも言われ『起こる、始まる、定まる』などの意味があるそうです。
また蛇は脱皮することから『再生、復活』を連想させます。
新しいことが起こるそうで案外縁起のよい年のようですね。

政治の世界でも昨年末に政権が変わり『経済を復活させ元気な日本を取り戻す』というメッセージが出ています。
私も早く日本の景気が良くなることを誰よりも強く期待する一人です。

さて振り返ってケンテックスですが、昨年は六月に当社運営のケンテックスダイレクト(ショップ)が加盟総数29110店舗の中から名誉あるネットショップ大賞(ジュエリー、時計部門で一位)をいただきました。

日頃からお客様の立場に立って誠意を持って対応させていただいておりますがそれが皆様の評価にもつながり光栄にもこの賞をいただいたものと受け止めています。
これに甘んじることなくこれからもますます精進して皆様のご満足を得て一人でも多くのケンテックスのファンを増やすことが出来るようにがんばります。

また昨年は国産メカシリーズ開発の二年目となり一昨年に続き新たなシリーズを次々と開発し新作が豊富な年となりました。

ランドマンタフやスカイマンパイロットの新バージョンのほかに4月にはE546Mエスパイアクティブを発表しました。
これは国産の高性能ハイビートマルチムーブを塔載したモデルでクラシックながらスポーティなデザインを取り入れた新作で各88個の2デザインでしたが短期間でほぼ完売となってしまいました。

10月のブルーインパルス(S683Mチタンオールブルー)も大きな反響が出ました。オールブルーは冒険でしたが今も人気です。

そして年末のS706Mマリンマンシーホースの発売によって陸,海、空すべての日本製自動巻きシリーズが出揃いました。
シーホースは私自身もかなり満足のいく出来上がりとなりました。
おかげさまでこのモデルは皆さんからもたいへんな好評をいただいております。

これからも名実ともに日本の時計メーカーとしてレベルを上げ、その中味を充実していきたいと考えております。


さて話は変わりますが2月に新たなコンセプトによる新KTXシリーズ スーパーバブルスリムを登場させました。
これはケンテックスの弟ブランドとして企画されたものですがミニマルで洗練されたデザインをコンセプトに比較的若い人を対象としたケンテックスの入門編ともいえます。
ケンテックスはどちらかというと専門性(性能、機能)の高いプロ向けの時計や時計ファンを意識したものづくりを行っていますがKTXはデザインも重視しながら価格的にも気軽に腕につけてもらえる時計になっています。
どちらもあまり流行に捕らわれ過ぎず独自のコンセプトを大切にする理念は共通しています。


さて今年のケンテックスはどうでしょうか。
さらにメイドインジャパンのメカシリーズを充実させながら今年はレディスモデルの開発に挑戦したいと考えています。
以前からレディスはないのと言う声もありましたのでそろそろその声にも応えていきたいと思います。

ケンテックスというと男の時計というイメージですがケンテックスがレディスを造ったらどうなるか。
楽しみにしていてください。

そして最後に今年は巳年で新しいことが起こる(かもしれない)年ですね。
いよいよケンテックス待望の直営店がもしかしてできるかも。

ケンテックファンの方にとって新モデルは当然のことながら、すべてのケンテックスモデルが見たいときに見られることはとても大事なことではないかと思います。
そしてケンテックスというブランドの世界観を伝えることが重要だと痛感しております。
そういう場所を用意することは私たちの役目ではないかと思っています。

2013年のケンテックスにご期待ください。

S706Mマリンマン4 シーホース新製品紹介


マリンマン3(S601M)の発売からずいぶんたちましたがマリンマンシリーズとして久しぶりの新製品の紹介です。

マリンマン4 シーホースS706Mはケンテックスとして本格的潜水防水仕様の永久定番モデルを開発したいという強い思いから始まりました。
基本スペックの高さに加えてデザイン的にはベーシックな部分(飽きが来ない)と、そうはいってもどこにでもあるようなものではなくオリジナリティも持つ、まさに私自身が欲しくなる魅力ある時計を目指しました。

昨年から構想に入りデザインから構造開発までずいぶん時間をかけて手がけてきましたがようやく年末の新製品発売に至ることができました。

本格潜水防水とはISO6425(ダイバーズウォッチ国際規格)に準拠した品質を言いますが当初よりこの基準をクリアーすることが大命題です。
製造スタッフにも始めからこの品質を徹底するよう社内、工場への説明、指示からスタートしました。
実際に人間がそこまで潜れるわけではないですが200M潜水防水とは基本的に200M潜水に耐える品質といっていいと思います。

このモデルを開発するに当たりケンテックスマリンマンシリーズの顔としてどうしても確保したいスペックがありました。
以下がそのこだわりです。

こだわりのスペックとは

1.セラミックベゼル
→一般のアルミべゼルは容易に傷がつきますがこれに比べてサファイアと同じ硬度のセラミックは傷がつかずいつまでもベゼルの表面文字が消えずその判読性を保つことができます。

2.サファイアクリスタル(スモールレンズ付き)
サファイアはほとんど傷がつかないのでいつまでも文字板の視認性もよくきれいな状態を保つことができます。またスモールレンズをつけることでカレンダーの判読性が格段に上がります。

3.ISO6425準拠200M潜水防水
→ISO規格をクリアーする本格潜水防水仕様にすることでより安心、信頼できる潜水防水モデルとなります。


4.深い型打ち模様つきケースバック
→実際の現場では極めて製造が困難なため有名ブランドでも尻込みするプレスによる深い型打ち模様を実現することで高級時計としてのこだわりを目指しました。
その模様はドラゴンの年にちなんだタツノオトシゴ(SEAHORSE)をデザインに落とし込んだものです。

5.純白の強蓄光

白色の明るい蓄光は本来技術的には難しいものです。これをスイス製のSLCというスーパーホワイトルミナスを採用することでほぼ純白に近い色の強蓄光を針と文字板のインデックスに採用しました。
明るいところでは純白、暗いところでは薄グリーンのかなり明るい発光をします。


6.ムーブメントは信頼性の高い日本製の三針デイトタイプの21600ビート自動巻き(秒針規制つき)を搭載しています。
リューズで秒針の補正ができる秒針規制つきです。
ダイバーのため裏スケルトンにはなっていませんがローターにはKENTEXのロゴが入っています。

7.ベーシックながら研ぎ澄まされた外装
ケースは視認性の観点から大きな見切り径(文字板径)となおかつベゼルの文字を大きく見やすいものにするために設計検討を重ねた結果44.8ミリの大ぶりなケース径としました。見た目にも迫力がありダイバーモデルとしても強度の高いケースになります。
また200M防水でありながら優れたフィット性と重さを考慮してできるだけケース厚を薄くすることにこだわりました。
一般のダイバーモデルは回転するベゼルがケースのガラス取り付け部の上面エッジにかぶさった構造をとるのが普通ですがその場合ケース総厚がかなり大きくなってしまいます。
このモデルはエッジを露出させる構造と強度の高いサファイアを採用することで総厚みをかなり薄くすることに成功しています。
その結果200M防水で12.8ミリと通常防水レベルのケース厚みになっています。

またケースのデザイン特徴として柔らかい曲線で構成されたケース側面とすることにし3時、9時側に底面から上部にかけて柔らかいカーブを入れることにこだわりました。
(スケッチ参照)


時計を見るとそのケースの柔らかい曲面が見えますがそれはこのケースのデザイン上のこだわりとなっています。
私自身が試作段階で何度もやすりを入れカーブ具合には随分こだわりました。
最終的には心地よいカーブ具合になっていると思います。


ベルトは316L材の三列無垢で中央部は型うちの斜面を取り入れたデザインを採用しました。
エクステンションつきのバックルは両面プシュの操作しやすいものとなっています。

日本組立てのメイドインジャパンで文字板と裏ぶたにMade In Japanのマークが入ります。

モデルのバラエティはSSケース/SSベルトに黒ダイアル(01)のほかにSSケース/SSベルトにグリーンダイアル(02)とオールブラック(03)の2モデルが各188個の限定(シリアルナンバー入り)となっています。


オールブラックモデルはダイアルリングに鮮烈なレッドを入れ精悍な個性を主張しました。

これだけのスペックですが価格はかなり抑えて52500円からの設定です。

有名ブランドではこの仕様で10万円をくだることはないでしょうからかなりリーズナブルな価格設定といっていいでしょう。

01(ブラックダイアル)    52500円(税込)
02(グリーンダイアル)限定品  54600円(税込)
03(オールブラック)限定品   63000円(税込)


03の限定品はラバーベルトが交換用スペアベルトとして標準付属され特製プラスティック防水ボックスの特別パッケージとなっています。

確かな品質でいいものを、リーズナブルな価格で提供することでできるだけ多くの人に腕に付けてもらいと考えています。

ぜひ一度手に取ってご覧になってみてください。
その迫力と魅力が伝わってくるはずです。

新製品エスパイアクティブの紹介

すでに時計誌腕時計王でデビューしたのでもうご存知の方も多いと思いますが国産自動巻き搭載のフラッグシップモデル、エスパイシリーズ第二弾の発売がもうすぐです。

ハイビート高級ムーブのマルチファンクションムーブを搭載したモデルは他社に先駆けてKentex が初となります。28800ビートでパワーリザーブ表示つき、カレンダー、24時間表示、月、曜日がついたマルチ表示、26石の新開発高級モデル用新ムーブです。

まずはエスパイのコンセプトである”一生もの”の時計を開発することに重点を置きました。

本格高性能ムーブをベースに飽きの来ない美しいデザインであることは先のE573Mエスパイと同じですがこのE546Mはさらに高機能を追求したスポーツモデルを意識したデザインとなっています。

ケースデザインはこれまでのエスパイのドレッシーなDNAを引き継ぎながらもラグとリュウズガードの部分にスポーティさを加えた落ち着きのある洗練された新しい顔になっています。

ケースサイズもラグジュアリー感を出して一回り大きい41ミリです。

SUS316Lを採用したサティンとミラー仕上げの落ち着いた高級仕上げとなっています。

ケース横9時側にはKENTEXのロゴが彫刻されています。

風防には無反射コーティングされた両面カーブのサファイアクリスタルを採用、キズがつかずいつまでも初期の美しさをキープすることが出来ます。

もちろん裏もきれいなムーブを見せるスケルトン仕様となっています。

自動巻きムーブのローターは前作の波をイメージした日本の紋様をデザイン。ブルーのND貼りの技術を使いムーブの美しさを強調することに成功、こだわりの裏スケルトン仕様となっています。

ダイアルは中央部が放射状のギョーシェ彫り、外周とインダイアル部がサークル状のうずめ模様を採用。インデックスは12,3,6,9時の4箇所がローマアプライ、8箇所は三角カットのバーインデックスを採用して適度なアクセントとシャープさを演出しました。

E546M-01はトップブルーのケースにシルバーダイアル、−2はトップローズゴールドのケースにコニャックブラウンダイアルの組み合わせです。

ベルトはー01がサティントミラーの落ち着いた仕上げの5列のデザインを採用、バックルは両サイドプシュ方式の三つオレタイプ。

−02はダークブラウンの天然の本ワニ革を採用した本格高級ベルト仕様となっています。

日本製として文字板とケースバックに”Made In Japan”のマークが入ります。

このムーブは高価でもあり入手期間も長くなり困難なので両モデルとも88個の限定生産となります。

これでケンテックスの高級シリーズであるエスパイのラインアップが揃ってきました。

いい時計が欲しいという時計ファンには私が自身を持ってお勧めする時計です。

今のところ次回の計画は未決定でおそらく2年後以降となるかもしれませんので貴重なモデルになると思います。